海外で一大旋風を巻き起こした斬新な舞台『エブリ・ブリリアント・シング~ありとあらゆるステキなこと~』が1月25日に開幕する。本日、マスコミ向けに公開ゲネプロを行い、佐藤隆太が意気込みを語った。
佐藤隆太コメント
初めての一人芝居なんですが、アドリブやとっさの判断が必要になる作品を一人芝居で経験できるとは思っていなかったので、最初は驚きました。舞台をやるときは、初日を迎えれば作品を通しての手ごたえを感じるものですが、今回は毎日が初日のような感覚で臨まなくてはいけないので精神的にタフでいないといけないですね。でも、毎回新鮮で、刺激があるので、そういった意味では助かっている面と、ヒリヒリする気持ちが共存しています。お客さんによって公演ごとに空気感が全く異なり、かなりチャレンジングな作品ですが、今日のゲネプロは皆さん(報道陣)にもご参加いただけて、とても楽しかったです。僕の中でのベスト・オブ・ゲネプロでした(笑) ユタでの公演を観劇して、今まで感じたことのない暖かい気持ちを持ち帰れたので、今回観劇してくださった方にも同じように特別な観劇体験を持ち帰ってもらえたらなと思います。
ユタではお客さんがチャーミングでキュートに参加している方が多く、日本のお客さんがスムーズに参加してくれるか想像しづらかったのですが、谷さんが「絶対に日本でも上手くいく」と言ってくださって、昨日も、「きちんと芯は持った日本版になっている」と言ってくださったので、すごく心強いです。
初めての一人舞台ですが、お客さんと一つになって物語を紡いでいく作品です。参加することに怯むまず、もちろん観ていただくだけでも大丈夫ですので、味わったことない演劇体験をしてもらえればなと思います。
『エブリ・ブリリアント・シング』は2013年にイギリスで幕をあけ、翌年には演劇祭の最高峰の一つであるエディンバラ国際演劇祭に参加し、3年連続して同演劇祭で上演されるという快挙を成し遂げた作品。2014年以降、ニューヨークを始め、世界中で翻訳上演されている話題作の日本語初演となる。
『エブリ・ブリリアント・シング』が、世界中の人々を虜にしてきたのは、観客との距離が近いトークライブかのような、特殊でユニークな上演形態が挙げられる。登場人物は一人のみ。開演前から、出演者が観客に話しかけたり、番号のついた小さなカードを渡したり。観客が全員着席すると、リストを手にしたキャストが自分の子ども時代の話を語り始める。そのリストは、この世界にある「ありとあらゆるステキなこと」を書き連ねたリスト。
観客は、キャストから渡されたカードにある自分の番号が呼ばれたら、そこに書かれている言葉を読み上げたり、出演者によって促されて参加したりするうちに物語が進行していく。観客とキャストのやりとりは、アドリブのようでいて実は戯曲の段階でかなり計算されつくしたやりとりになっており、やがて観客も主人公を演じるキャストと共に、人生で「ステキなもの、ステキなこと」を探る旅が始まる、という舞台となっている。
『エブリ・ブリリアント・シング』の日本語初演に翻訳・演出として参加するのは、2019年夏に上演された『福島三部作』で注目される谷 賢一。谷は、劇作・演出のみならず『最後の精神分析』の翻訳で小田島雄志翻訳戯曲賞を受賞しており、翻訳でも一目置かれた存在。
谷自身、ルーマニアのシビウ演劇祭で本作を観劇して以来、日本語上演を切に希望しており、今までにない上演形態に心惹かれ、早速、原作の英語台本の翻訳にとりかかった。
出演者は一人だけ。さらに、取り囲む観客を「自分が語る物語」に引き込む、という難役に挑戦するのは、今年がデビュー20周年となる佐藤隆太。