長い間隠されてきた家族の秘密を、各々の政治観と個性を織り混ぜながら語られる、ワイエス家を舞台にした家族劇『OTHER DESERT CITIES』(アザー・デザート・シティーズ)。登場人物たちの心の擦れ違いを描く世界観を体現したチラシビジュアルが公開された。
2012年トニー賞で5部門にノミネートされ(うち演劇助演女優賞を受賞)、ピューリッツァー賞戯曲部門でもファイナリストに選ばれるなど、ブロードウェイで"ウィットに富んだ辛辣さで深く心を打つ傑作"と絶賛された本作。今回は映画「紙の月」(2014)でアカデミー賞優秀脚本賞を受賞した早船歌江子が初の舞台脚本翻訳に挑み、「おそるべき親たち」(2010)で第13回千田是也賞を受賞した気鋭の熊林弘高が演出を担う。
主演は日本アカデミー賞やベルリン国際映画祭、読売演劇大賞など数々の受賞歴を誇る女優・寺島しのぶ。さらに共演には佐藤オリエ、麻実れい、中村蒼、中嶋しゅう。強い個性と実力を兼ね備えた5名の豪華俳優陣が創る、悲劇的な過去を持つ家族の物語。チケットは4月16日(日)発売。
◆寺島しのぶ
戯曲を一読して「これ、わたし!」って思ったんです。「今、わたしがやる意味がある」と思いました。このよく出来た戯曲で、熊林(弘高)さんの演出で、しびれる共演者の方たちがいて、やらない理由がなかったです。
◆中村 蒼
海外の戯曲の出演経験はまだありません。自分ではまだ早いかなと思っていたのでうれしいです。聞くところによると、役者以外は稽古場に入れないルールで稽古をやるんですってね。どんな感じになるのか、楽しみ。
◆麻実れい
最初に台本を読んでみて、自分の中で可能性が見つからず、迷って迷って、演出の熊林(弘高)さんに電話で相談したほど。例え大変な役でも、熊林さんの演出には、できる限り関わりたいと、決意を新たにしました。
◆中嶋しゅう
アメリカの共和党の政治家の役です。政権の内幕を描いたアメリカのTVドラマなどを観ていても、それは凄まじい世界のようですが、家族の前ではオロオロしているだけの、ただのお父さん。女性の強さには適いません。
◆佐藤オリエ
今まで演じてきた母親の役は、わがままで子供を犠牲にする役ばかり。今回は逆で、家族を必死に守る役。できるかしら、とも思いますが、自分の母に似ていて、「母の色んなトコロ、活かせる」と密かに思っています。
あらすじ
2004年のクリスマスイブ――
遠く離れた砂漠の国では、イラク戦争が継続していた。
そしてカリフォルニア州にある砂漠の街・パームスプリングスでは休暇に集まった家族が、ある危機を迎えていた。
「これは小説じゃない。回想録なの」
数年ぶりに帰郷した娘の宣言は、家族に投げつけられた爆弾だった。
ずっと昔に封印し、お互いに語らずに来た過去を、赤裸々に書いた回想録を出版するというのだ。
有名人の両親は、体面を守るために娘と激しく対立する。
お互いを理解出来ないまま、家族はそれぞれの真実によって、相手を打ち負かそうとする。
やがて事態は、修復不能なまでに壊れて行き……