劇作家ジョン・ロビン・ベイツ作「OTHER DESERT CITIES」は、2010年オフ・ブロードウェイのリンカーン・センターでワールドプレミアを行い、翌年ブロードウェイのブース劇場にて、ジョー・マンテロ演出で上演された。
本作はワイエス家を舞台にした家族劇。長い間隠されてきた家族の秘密を、各々の政治観と個性を織り混ぜながら語られ、「ウィットに富んだ辛辣さで深く心を打つ傑作」と各地で称賛された。
また、12年トニー賞5部門にノミネートされ、シルダ役を演じたジュディス・ライトは、演劇助演女優賞を受賞。同年、報道・文学・作曲に与えられる米国で最も権威ある賞、ピューリッツァー賞戯曲部門において、ファイナリストに選ばれた。
今回、その傑作に、映画「紙の月」(14)脚本を担当し、第38回日本アカデミー賞優秀作品賞、優秀脚本賞ほか8冠に輝いた早船歌江子、10年に上演された「おそるべき親たち」(ジャン・コクトー)で第13回千田是也賞を受賞した演出家 熊林弘高と演技派俳優陣が挑む。
主演の長女・ブルックには、日本アカデミー賞(04)主演女優賞、第60回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(最優秀女優賞・10)を受賞、また舞台で読売演劇大賞 最優秀女優賞(04・07)など数多く受賞している寺島しのぶ。寺島は「戯曲を一読して「これ、わたし！」って思ったんです。「今、わたしがやる意味がある」と思いました。このよく出来た戯曲で、熊林(弘高)さんの演出で、しびれる共演者の方たちがいて、やらない理由がなかったです。」と、作品に対する思いを語っている。
ブルックの母・ポリーには、フジテレビ・ドラマ「若者たち」でデビュー、93年第1回読売演劇大賞優秀女優賞 受賞、その後も数々の舞台に出演している佐藤オリエ。ポリーの妹・シルダには、読売演劇大賞最優秀女優賞、毎日芸術賞、芸術選奨文部科学大臣賞など数々の演劇賞に加え、映画でも日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞した功績が認められ、06年紫綬褒章を受章した、麻実れい。麻実は、第42回菊田一夫演劇賞大賞を受賞したばかりだ。
日本を代表する実力派女優たちと更に、ブルックの弟・トリップに映画・ドラマだけにとどまらず、近年舞台でも存在感を醸し出し、実力派若手俳優の一人として注目を集めている中村 蒼、ブルックの父・ライマンには柔剛自在な演技力とその個性が光る中嶋しゅうが出演する。
チケットは4月16日(日)発売。
あらすじ
2004年のクリスマスイブ――
遠く離れた砂漠の国では、イラク戦争が継続していた。
そしてカリフォルニア州にある砂漠の街・パームスプリングスでは休暇に集まった家族が、ある危機を迎えていた。
「これは小説じゃない。回想録なの」
数年ぶりに帰郷した娘の宣言は、家族に投げつけられた爆弾だった。
ずっと昔に封印し、お互いに語らずに来た過去を、赤裸々に書いた回想録を出版するというのだ。
有名人の両親は、体面を守るために娘と激しく対立する。
お互いを理解出来ないまま、家族はそれぞれの真実によって、相手を打ち負かそうとする。
やがて事態は、修復不能なまでに壊れて行き……
