2017年10月の東京芸術劇場公演は主演佐々木蔵之介による
舞台『リチャード三世』だ。
「リチャード三世」は、イギリスの劇作家ウィリアム・シェイクスピアによる史劇で、シェイクスピア全作中、最も胸躍るピカレスク(悪漢)ロマンです。敵も味方も肉親までをも、欺き、殺して玉座を手に入れるリチャード三世の栄光と転落が描かれている。
まるでゲームを楽しむように悪行に邁進するリチャード。その複雑なキャラクターは、まさしく色悪の魅力にあふれ、これまでにも、世界各国、当代を代表する個性派の名優たちが好んで演じてきました。今回この役に挑みますのは、佐々木蔵之介。舞台、映像など数多くの作品に主演、その存在感と確かな演技が高い評価を得て、人気実力ともに日本演劇界をけん引する存在です。本役では優れた表現力・身体能力を発揮して、すがすがしいまでの悪漢ぷりをみせつけてくれることだろう。
演出には、圧倒的なビジュアルセンスと、過剰なエネルギーが渦巻く舞台づくりで“ルーマニアの蜷川”とも称すべき、巨匠シルヴィウ・プルカレーテ。「ルル」(13)や「ガリバー旅行記」「オイディプス」(15)と過去三作の東京芸術劇場来日公演で、日本の舞台ファンを魅了したプルカレーテは、本作で初めて日本人キャストへの演出を手掛けるにあたり、男優15名と女優1名、ほぼオールメールでの上演を敢行する。リチャードに夫を殺されながら籠絡されて妻となるアン役を独特の存在感を放つ手塚とおるが演じるほか、過去数多くのシェイクスピア作品に出演してきた今井朋彦、植本純米(植本潤改メ)、そして長谷川朝晴、山中崇、壤晴彦ら個性的すぎる実力派が顔を揃えました。男女含めて膨大なキャラクターをわずか15人で演じ分ける。加えて、日本演劇界の至宝とも呼ぶべき名女優渡辺美佐子が演出家から特別な役を託されて、出演することが決定している。
プルカレーテの上演台本、大胆な解釈により創り上げられる、全く新しい「リチャード三世」。それを演出補として支えるのは、作家・演出家・翻訳家として活躍し、数多く海外演出家とコラボレーションしてきた谷賢一。何度もシェイクスピア作品に携わり、深い造詣を持つ谷が本作品に参加する。
<ストーリー>
王位をめぐるランカスター家とヨーク家の争い(=薔薇戦争)の渦中、15世紀イングランド。
ヨーク家・王の弟で、野心家のリチャード(佐々木蔵之介)は、自身が王座を得るために、知略の限りを尽くし、
残虐非道な企みに手を染めていく。そして、自らが殺したランカスター家・ヘンリー六世の王子の妻・アンをも手に入れてしまう。友、先王の息子、王妃、実の兄でさえも厭わず手にかけ、邪魔な人間を次々と葬り去ったリチャードは、
ついに王座に上り詰める。そして、さらなる策略を企てる矢先、反乱が起こり軍勢に攻めこまれてしまう。
最後に彼を待ち受ける運命とは……。