10月8日(月・祝)より東京芸術劇場 プレイハウスにて開幕する舞台「ゲゲゲの先生へ」。
本日、マスコミ向けに公開ゲネプロが行われ、前川知大、佐々木蔵之介、松雪泰子、白石加代子がコメントした。
本作は、「イキウメ」を拠点に劇作家、演出家として活躍している前川知大が脚本、演出を手掛ける新作。水木しげるの「世界観」を原作にした完全なオリジナルストーリーに、幾つかの原作短編を織り込んでいく。ある一つの作品の舞台化でも、評伝でもなく、水木しげるの人生観、世界や“不思議”との関わり方を、膨大な作品群とその登場人物、エッセイやインタビューで語られた言葉、エピソードから読み解き、新しい物語を編み上げる。現実の中の異界を描き続け、紀伊國屋演劇賞受賞など、現代日本演劇を牽引するイキウメの前川が手掛ける、水木しげる作品への最大のオマージュと呼べる作品だ。
【脚本・演出 前川知大】コメント
今回集まっていただけたキャストの方々は、人間、妖怪、半妖怪と担う役割はそれぞれですが、「妖怪は自然に、人間はグロテスクに」という水木作品のテイストに基づいた演技や表現の住み分けを、両者の狭間にいる半妖怪の根津=佐々木蔵之介さんを始めとする11人全員が、本当に見事に果たしてくれています。水木しげる作品には、幼い頃から当たり前のように接していて大きな影響を受けています。この作品が恩返しになってくれたら幸いです。
【佐々木蔵之介】コメント
4年ぶり、5回目になる前川作品ですが、日々の稽古を踏まえて戯曲ごと更新していくような作品作りを楽しみました。
水木先生の作品・世界観を丸ごと演劇に取り込む、という試みは、とても面白いです。前川さんの水木さんへの惚れ込みようと、嬉々として語ってくれるその熱が日々、俳優たちにも伝染ってきて、僕自身も水木さんの漫画だけでなくその破天荒なエピソードひとつひとつに心惹かれて、どんどん好きになっています。
今回演じる根津は、水木さんもとても愛着を持っていたキャラクター・ねずみ男と、水木さんご自身を重ねて作られた登場人物。怠け者でずる賢く、頭の中は金の事ばかり…と、妖怪なのにとっても人間臭い役。楽しくて、懐かしくて、ちょっと寂しい、水木さんらしい作品になったと思います。どんな「目に見えないモノたち」が現れるのか、その気配をぜひ劇場で感じてください。
【松雪泰子】コメント
水木作品へのオマージュと、コラージュという今回の作品は、沢山のピースを組み合わせて、構築するパズルの様な稽古でした。何層にも、アイデアを重ねては壊し、再構築し、ベストな形に創り上げて行く稽古場は、役者全員が高い集中力で、毎日稽古に臨み体現し探して行く。そして、それを前川さんの感じている水木作品の世界観に落とし込んで行く。とても有意義な稽古場でした。前川さんが感じている水木作品、そして水木さんの感性、人間性を作品を、役者が身体を使い体現して行くのは、なかなか高度。水木作品がもつユーモアや社会風刺、そして精霊とされる妖怪。そしてその全てを包むなんとも言えない寂しさ。水木先生の描く背景には、いつもそれが漂っている。その感覚をつかむべく、稽古の合間も水木作品に触れ続けながら、この空気感を体現するにはどうしたら。。と、全員で模索する日々でした。
前川さんの稽古は、パティシエが材料を何層にも何層にも重ね、まるでミルフィーユを作っているみたいだなあと感じていました。
毎日毎日、違う味わいの層が重なって行く。重なって行く度に、驚かされる事が多く。楽しんでいました。私の中の前川さんは、水木作品のパティシエ。
出来上がった作品が、極上の味わいになる様にこれから私達がしっかりと、水木作品の質感を体現していきたいと思います。
【白石加代子】コメント
軽い日常的な会話で紡がれながら、内実は奥深い戯曲。自分が今まで取り組んだことのないタイプに感じます。ブラック・コメディ、怪談、SF。色々な要素が、幾つもの層になっているようで、場面によって見え方が違う。
それを演出家としても丁寧に一場ずつ立ち上げ、俳優たちから出て来るものも尊重してくださるので、共演の方たちとも少しずつ近づき、理解し合える良い稽古場でした。平易な日常と地続きのその裏側、特に淡い境い目のところを楽しくお客様に提示するところが、前川作品の魅力だと思っています。
あらすじ
時は平成60年。人口の激減した日本。人は都市に身を寄せ合い、田舎は打ち捨てられ植物に飲み込まれている。ある廃村に、男が一人で暮らしている。男は半分人間、半分妖怪の半妖。かつて村人がいた頃は、半妖の周りに妖怪たちの姿があった。そして、村人が減っていくのに合わせて、妖怪たちは姿を消した。することもなく、それが現実か夢なのか分からないほどの長い間、一人でまどろみの中にいた半妖のもとに人間たちがやってくる_。
出演は、ねずみ男をモチーフにした半妖の主人公・根津役に佐々木蔵之介。人気、実力ともに日本演劇界をけん引する佐々木が前川とタッグを組むのは、今回で5度目、その相性の良さは折り紙付き。そして、透明感あふれる演技とときに幽玄さを醸し出せる稀有な女優、松雪泰子。さらに、あやかしの世界を体現するのに欠くことのできない存在、白石加代子など、実力と風格を備えたキャストが集結した。
当日券販売あり、詳細は公式サイトにて