1978年のアメリカ・ニューヨークでの初演以来、世界各地で上演され続けている、アーネスト・トンプソンの名作戯曲「黄昏」。1981年にはキャサリン・ヘップバーン、ヘンリー・フォンダ、ジェーン・フォンダの共演で映画化されて話題を集め、アカデミー賞やゴールデングローブ賞などで数多くの賞を受賞した。
アメリカ・メイン州の美しい湖ゴールデン・ポンドの岸部にたたずむ別荘を舞台に、そこでひと夏を過ごす老夫婦とその家族を通して、誰にでも訪れる老いと、家族の絆という普遍的なテーマを、穏やかでやさしい時間の流れと共に描く。
演出を手がけるのは文学座の鵜山仁。そしてキャストには確かな実力派が顔を揃えた。妻・エセルを演じるのは、今年芸能生活50周年を迎える高橋惠子。共演に、瀬奈じゅん、松村雄基、石橋徹郎、若山耀人。夫・ノーマンは、文学座の石田圭祐が演じる。時代が変わっても上演され続ける、不朽の名作戯曲。円熟の老夫婦と家族が紡ぎ出す温かなひと夏の物語。チケット情報ほか詳細は
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◎鵜山 仁(演出)
一昨年の初演から今回の再演にかけて、『黄昏』の座組には大きな変化がありました。エセル、ノーマンの老夫婦が高橋惠子さん、石田圭祐さんに。チェルシー、チャーリーの二人が瀬奈じゅんさん、石橋徹郎さんに変わりました。ビルとビリーの松村雄基さん、若山耀人君は引き続いての登板です。
再演というのは実に不思議な出来事で、俳優諸氏や舞台の空気感は変わっても、そこには相変わらずの持続性というか、不滅の何かがある。ふたたびこの世界に浸ることで、僕たちは「経験を深めつつ若返る」という「舞台」ならではの、稀有な体験をしているような気がします。
◎高橋惠子(エセル・セイヤー役)
何より、お稽古からこれまでがあっという間で、もういよいよ初日という感じです。再演となる今回は、新しいキャストが4人、前回に引き続いての方が2人。演出家も前回と同じ鵜山さんですが、新たな気持ちで演出をつけてくださったので、これまでとは、またちょっと違う『黄昏』になっているかもしれませんね。『黄昏』のこの世界観がじんわりとお客様に伝わるといいなと思います。
◎瀬奈じゅん(チェルシー・セイヤー・ウェイン役)
この『黄昏』という戯曲が、様々な家族の形がある現代でどのように伝わるのかな、と楽しみな面が大きいです。私自身は、久しぶりのストレートプレイですし、共演者の皆様と楽しみながら思い切りぶつかっていけたらいいなと思います。ご来場いただくお客様に、家族の大切さ、あたたかさを改めて考えていただける機会になれば幸いです。
◎松村雄基(ビル・レイ役)
カンパニーの雰囲気がアットホームなためか、あまり緊張はないですね。お稽古中もそんな雰囲気の中で皆さんとずっと同じ時間を過ごして、現場にいるのが心地よくて楽しかったです。再演というのは、前回できなかったことをやり直すチャンスでもあり、作品に対して、これはこういう意味だったのかと新たな発見ができる機会でもあり、それもあって楽しかったのかもしれません。新しい『黄昏』をどうぞご覧ください。
◎石橋徹郎(チャーリー・マーティン役)
今回は再演ということですが、前回から続投のキャストも、改めて作品に向き合ってくれていて、お稽古がすごく面白かったです。共演者の皆さんは、『黄昏』という優しい物語にぴったりの良い方ばかり。いよいよ初日を迎えるわけですが、ご来場のお客様の気持ちと重なって、どんな時間が流れるのか今から楽しみです。僕たちも真心込めてお届けしますので、お客様もゆっくりと、作品に流れる時間を楽しんでいただければと思います。
◎若山耀人(ビリー・レイ役)
やはり、劇場に入って客席を目の前にすると気持ちが切り替わるので、今はとにかく楽しみです。最初は、初めてお会いする方もいたので緊張もしたんですが、とても良いキャストの方々に恵まれて楽しくお稽古させていただきました。家族がテーマになっているので、年の初めにこの作品を観て、今年は自分の家族ともっと仲良くしてみようと思っていただけるといいなと思います。
◎石田圭祐(ノーマン・セイヤー・ジュニア役)
僕は杉浦直樹さんと八千代薫さんが出演されていた『黄昏』にビル役で出演していたので、お二人の雰囲気を思い出しながらお稽古に臨んでいました。この機会に改めて映画の『黄昏』を観たのですが、原作戯曲の方とは印象が異なり、映画をご存知の方がこの公演をご覧になるとまた違う楽しみ方ができると思います。頑張りますので温かく見守っていただければありがたいです。