撮影:角田大樹
(C)菅野文(秋田書店)/舞台「薔薇王の葬列」製作委員会
若月佑美・有馬爽人が主演を務める舞台『薔薇王の葬列』。本日公開稽古・取材会が実施され、全キャストと演出の松崎史也氏が登壇。作品にかける意気込みを語った。
松崎史也(演出)
稀代の悪役で醜い男、というイメージで知られるリチャード三世を、二つの性を持って生まれ、母親からも愛されなかったという、ジェンダーやネグレクトといった現代的な問題に置き換えた「薔薇王の葬列」は、そう表現するのか!と驚きで、演劇で表現してみたいと強く思いました。シェイクスピアの戯曲の解釈はコミックスにもアニメにもシンパシーを感じるので、演劇としてできることや表現したいことを全部やろう!と楽しみにしています。人間の力で作るからこそ表現できる感情、アナログさを大事にしながら、素晴らしい役者達と作るこの作品、今から成功を確信しています。どうぞご期待ください。
若月佑美
シェイクスピアの面白さもありながら、2.5次元作品としての美しさもあり、とても面白い作品だと感じます。その素晴らしさをしっかりと表現していきたいと思います。原作に対して全員がリスペクトと愛をもって演じています。皆さんと稽古を重ねる中で、リチャードの人物像がわかってきました。Wキャストの有馬(爽人)さんと話していると、自分とは異なる捉え方をしていて、同じ役でも全く同じではないリチャードになっていると思います。観にいらっしゃる方によって、見え方もいろいろと変わってくると思います。持ち帰っていろいろ話して、考察してもらえると嬉しいです。
有馬爽人
今回の舞台は新たな挑戦が多いです。稽古を始めて、日に日にリチャードの体の痛みや心の痛みを感じるようになっていますので、本番までにリチャードとしても、もっと成長して原作以上のものを届けられるようにしたいと思います。男女のWキャストは珍しく、最初は不安もありましたが、若月(佑美)さんとたくさん話し合っていた中で捉え方の違いなどがあり面白いなと思いました。作品に出てくるキャラクター、1人1人、濃い物語ですし、自分が演じるリチャードと若月さんが演じられるリチャードもあるので、1回観ただけでは、足りないと思います。様々なパターンをぜひ、劇場に足を運んで楽しんでいただけたら嬉しいです。
和田琢磨
この作品は、王家の物語でもありますが、コミックスを読んで自分の地位や権威、人の欲望、愚かさが醜いがそれが美しく見える反比例な存在です。Wキャストの方が男性女性ということで、両方のパワーも感じ、キャストのいろいろな表情を観るのがとても楽しみですし、それをお客さんに観て頂くのも楽しみです。
君沢ユウキ
王家に生まれたことでの幸せなこと、不幸せなこと、そしてリチャードの運命の物語です。自分の好きなセリフで“なんびとも運命には逆らえない”というものがあります。愛し合ってはいけないという苦しみも描かれ、奥行きの深い物語が描かれています。男性と女性の間で苦しむリチャードを男女のWキャストで演じることなど、いろいろな部分を楽しんでいただきたいです。
高本 学
テクノロジーにこだわらずダンスや歌、お芝居だけで表現することがチャレンジングな作品だと思います。演劇のパワーと主演の男性女性のWキャストで退屈させない作品になっています。この演劇と真摯に向き合って表現したいと思います。
加藤 将
この作品で、ジェンダーが語られている側面もあると思います。“性別などがなければもっと自由”、というところがあり、ものすごく共感しました。そういう部分も含めてお客様に影響を与えられる作品になっていると思います。また、ケイツビー役としては、Wリチャードを見守れる存在になりたいと思います。
瀬戸祐介
演じるウォリックは実直で素直だと思います。私自身、演劇界のウォリックと自負しておりますが(笑)、これから稽古を重ねて、それを確信したいと思います。松崎さんの演出する作品に出演できることも嬉しいです。シェイクスピアは、長い間語り継がれてきた存在ですが、この作品で松崎先生を“シェイクふみや”として後世に語り継げるような舞台にしたいと思います!
廣野凌大
この作品のキャラクターは、性と愛に純粋にしがみついています。今回は、2.5次元舞台ではありますが、テクノロジーに頼ることなく、人間のパワー・エネルギーでのまっすぐ演じたいと思います。
星波
演じるのは貴族に生まれた娘で、もちろん私自身の環境とは違い、自分の思いを優先できない貴族という立場ですが、まっすぐで純粋で素直なキャラクターだと思います。リチャードとの絡みも多いので、お二人それぞれの違いをキャッチしながら、演じていきたいと思います。
藤岡沙也香
リチャードとの関係性をとことん突き詰めていきたいと思います。何を言われても自分の考えを通していくセシリーを、まだまだ課題は山積みですが、精一杯演じられるよう、頑張っていきたいと思います。
佃井皆美
作品の中で重要な役割を担う役を演じさせていただけること、とても身が引き締まる思いでいっぱいです。主演二人との関係を深め、素晴らしい作品をお届けできるよう、精一杯お稽古に励みたいと思います。
田中良子
本読みをした段階で色っぽい役者さんが揃っていて、この作品にふさわしい役者さん達が勢揃いしている!と、感じました。皆様と共にこの作品を作れること、楽しみにしています。一人の母として存在できるよう、頑張ります。
谷口賢志
独身で元々外食が多かった僕は、ここ2~3年のコロナ禍で色々と寂しい思いをしていますが、稽古場に来れば、可愛い子供たちと妻がいて、幸せです(笑)。演劇の必要性が問われる中、演劇の力を信じて可能性をもっと広げること、まさにシェイクスピアが伝えたかったことなのではと思います。もっと娯楽と社会とを繋げていけるように戦っていきたいと思います。
また、新たにジャンヌダルク役として佃井皆美の出演が決定。ビジュアルも併せて公開された。
2013年から「月刊プリンセス」(秋田書店)にて連載され、今年1月に堂々の本編完結を迎えた菅野文によるダークファンタジー「薔薇王の葬列」。現在、TVアニメ版が2クール連続で放送中。
シェイクスピアが描いた、狡猾で残忍なピカレスク、というイメージで知られるリチャード三世を、男女二つの性を持って生まれたことを秘密裏に抱える存在として翻案。15世紀のイングランド、ヨーク家とランカスター家が王位継承を巡って争いを繰り返した薔薇戦争を背景に、大胆かつ深奥な解釈とアレンジによって見事な換骨奪胎をほどこし、まったく新しいリチャード三世の物語を生み出した。
本作では若月佑美と有馬爽人が男女のダブルキャストで主人公・リチャードを演じる。脚本はTVアニメでもシリーズ構成・脚本を担う内田裕基。演出は、原作の魅力を存分に引きだす演出とステージングに定評のある松崎史也が手がける。チケット情報ほか詳細は
公式サイトへ。