今年の2月に結成された関西ジャニーズJr.のユニット“Aぇ! group”のメンバーとして、舞台『僕らAぇ! groupって言いますねん』でいきなり東京での舞台デビューを果たした末澤誠也が、今回は単独主演として東京と兵庫の舞台に立つリーディングシアター『キオスク』が12月25日に開幕した。
初日開幕直前に公開けいこが行われ、囲み取材で末澤誠也、一路真輝、石丸さちこ(上演台本・演出)がコメントした。
末澤誠也 (フランツ役)コメント
作品のことはもちろん時代背景まで、石丸さんがすごく丁寧に教えてくださるので、すべて吸収したいと気合を入れて稽古に取り組んできました。今回、3人の大先輩方と共演させていただけることがとても幸せですし、上西さんとも切磋琢磨できたと思います。このカンパニーはお母さんが何人もいるようなアットホームな雰囲気(笑)で、みなさんにとてもよくしていただいています。関西弁がなかなか抜けず、作品の真髄を伝えるためにもイントネーションを直すのが大変でしたが、朗読劇を観るのが初めての人も多いと思いますので、楽しんで帰っていただけると思うので気軽に足を運んでください。
一路真輝 (フランツの母役)
もともと石丸さんの作品を沢山拝見していて、大ファンなんです。この作品でも本当に丁寧に作品を作ってくださって、いろんなことを提案してくださるので、違う自分を見つけられるようなお稽古になって、本当にご一緒できて嬉しいです。末澤くんは初めて会った時から、まっすぐで純粋で、フランツにぴったりだなと思います。石丸さんの導きもあったのでしょうけれど、私がお稽古に加わったときには既に末澤くんのフランツができあがっていました。石丸さんの演出で、さらにフランツ役を末澤くんが演じることで立体的な世界にできあがっていると思います。言葉では伝えきれないものが、この作品にはあります。この作品を見て現代の若い方たちが、第二次世界大戦に生きていたらこんな人生だったのではと、一瞬でも考えてもらえたらと思います。
石丸さちこ (上演台本・演出)
当初から末澤くんにはたくさんの課題を課しました。膨大なセリフ量に耐え得るだけの発声器官にするために、どんなに忙しくても毎日声を出し続けるようにと伝えてあって。それで最初の稽古を終えたところ、二度目に会った時には明らかに変わっていて、どれくらい努力してきたかが分かりました。それに応えようと、名優と付き合うように、どれだけ深いものが作品にあるかを、ことあるごとに末澤くんと話してきたんです。稽古期間中でも、今日のゲネプロ時でもどんどん変わっていくので、手応えを感じています。今回は、小説から上演台本にしているのですが、若者が未来を切り開こうとしているけれど叶わない時代があったということを、エンターテイメントで頑張っている末澤くんのような俳優が、渾身の演技をすることでたくさん伝わるものがあると思います。
末澤誠也はの単独主演は、関西ジャニーズJr.のユニット“Aぇ! group”で、メンバー初だが、今回は本公演へ向けたショーケースとして、リーディング形式での上演であり、本格的な舞台作品への足掛かり。
演出はミュージカルをはじめ多彩な作品の演出で評価の高い石丸さち子、ほかキャストには実力派で秀作への出演が続く女優の一路真輝、東京パフォーマンスドールの上西星来、ストレートプレイからミュージカルまで幅広く活躍する岸祐二、同じく様々な作品で高く評価されるベテラン俳優山路和弘と、そうそうたる顔ぶれが揃った。
昨年公開されたオーストリア映画版も好評の本作。
キオスクで働くことになった一人の青年が、大人たちとの交流を通じて成長していく物語。
1937年、ナチスドイツが台頭するウィーンに、自然に恵まれた湖畔で母親と二人暮らしだった17歳のフランツがやって来る。
キオスクの見習店員となったフランツは、母の旧友でもある店主からさまざまな事を学び、また店の客である精神分析学の創始者、フロイト教授と知り合いになる。教授からフランツは、人生を楽しみ恋をするよう忠告され、やがてフランツは年頃の青年らしく、謎めいたボヘミアンの女の子アネシュカに心を奪われ……。
フランツに人生を説く晩年のジークムント・フロイト教授。ウィーンでの自立の扉を開くキオスクの店主・オットー・トゥルスニエク。
そして時代のうねりにのみ込まれていくオーストリア。フランツの想いと歩みを描いて、ノスタルジックな空気感を醸し出すこの魅力的な作品は、2018年秋、日本でも映画版が公開されて好評を博した。