(後列左から)濱田めぐみ、安蘭けい、益岡徹、鶴見辰吾
(前列左から)浅田良舞、石黒瑛土、井上宇一郎、春山嘉夢一
7月27日~10月26日まで東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)、11月には大阪・SkyシアターMBSで上演される、ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』の公開稽古が6月25日に行われた。また、ビリー・エリオット役のキャストスケジュールが公式サイトで公開された。
オフィシャル公開稽古レポート
2017年に日本で初演され、多くの観客の心を打った“奇跡”のミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』が帰ってくる!コロナ禍を乗り越え公演を実施した2020年の再演を経て、新たなキャストを迎えての上演が決定。オープニング公演の開幕まで1ヶ月となったこの日、都内スタジオにて公開稽古が実施され、キャストのパフォーマンスや海外クリエイティブスタッフによる場面のレクチャーなどがおこなわれた。
公開稽古で披露された5つの場面をご紹介していこう。
(1)『The Stars Look Down 星たちが見ている』
ストライキが決行されることになり、炭鉱で働く男たちが“暗闇にいても夜空の星が自分たちを導いてくれる”と力強く歌う中、ビリー(石黒瑛土)がまるで将来の座標軸を探すように床を踏みしめながら進んでいく。炭鉱夫たちの熱量とビリーの繊細な感情とがリンクし、それぞれの未来を暗示する本作のオープニング場面だ。
(2)『Shine 輝け、今!』
ボクシング教室で居残り練習をさせられていたところ、偶然バレエのレッスンに迷い込んでしまったビリー(石黒瑛土)とウィルキンソン先生(濱田めぐみ)が出会うシーン。どんな個性でも踊って輝くことができる!とバレエガールズたちを鼓舞するように歌い踊るウィルキンソン先生と、そのエネルギーの渦の中で戸惑いつつバレエに興味を持ちだすビリー。必死に踊るバレエガールズたちがとてもキュート。
(3)『Express Yourself 自分を表現しよう』
バレエや家族のことで悩みが尽きないビリー
(春山嘉夢一)が親友・マイケル(髙橋維束)から“自分の人生好きに生きればいい”と元気をもらうナンバー。ふたりはママのドレスをこっそり着せ替えながら友情を確かめ合う。タップを楽しそうに踏むビリーとマイケルの姿が愛おしい。
(4)『Angry Dance 怒りのダンス』
本作見せ場のひとつ。ビリー(井上宇一郎)はロイヤル・バレエ・スクールのオーディションを受けるためロンドンに行こうとするが、お父さん(益岡徹)に認めてもらえない。行き場のない激しい怒りの感情をダンスで表現するビリー。短い時間で気持ちをマックスまで引き上げて踊る最高にパワフルかつセンシティブな場面だ。
(5)『Solidarity 団結を永遠に』
ストライキをおこなう炭鉱夫と警官隊の間の摩擦が激しくなり、“団結だ!”とそれぞれの立場で歌う中、ウィルキンソン先生(安蘭けい)とバレエガールズも同じメロディを歌いながら踊る。炭鉱夫たちとガールズがデュエットのようにリンクするバレエシーンは幻想と骨太さが混在する舞台ならではの演出といえる。
ビリー(浅田良舞)も何かの力が宿ったかのようにバレエの実力を高めていく。
この日は海外クリエイティブスタッフのエド・バーンサイド氏(演出補)による場面ごとのレクチャーもおこなわれ、本作におけるビリー役は「マラソンを走りながらハムレットを演じるのと同じくらいの難易度」とのコメントもあった。一生のうち、ほんの少しの期間しか演じられないビリー・エリオット役。2024年版でこの役を担う4人の俳優たちが自らの個性を武器にどんなビリーを魅せてくれるのか非常に楽しみだ。