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June 28,2024 (Fri)
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日本映画史に輝かしい足跡を残した女優・高峰秀子。生誕100年の節目となる今年から来年初頭にかけて上映会や講演会、展覧会などが企画され、その一環として女性に向けた女性だけの全6回無料の上演&ゲストトークイベント、『夜7時の「高峰秀子を観て語る女の生き方」講座 ~女だらけの夜~』。第2回が6月27日(木)に渋谷区のユーロライブで行われた。

毎回上映作品やテーマを変えて、養女で文筆家の斎藤明美氏がゲストと痛快なトークを繰り広げる本イベント。第2回の上映作品は『雁』。明治末期から大正初期にかけて文芸雑誌「スバル」に連載された森鴎外の小説「雁」が原作の映画化で、成澤昌茂の脚本を、三国連太郎主演、豊田四郎が監督した高峰秀子29歳当時の作品。

上映会後に行われたトークのゲストには、生誕100年プロジェクトのスペシャルサポーターとして制作発表会見や東京タワー大特別展にも駆けつけた女優の名取裕子が登場。“貧しさに泣いた女”をテーマに楽しいトークを展開した。

原作者の心情から映像の撮り方、演出、主人公お玉の髪型にいたるまで、詳細まで考察し、感想を述べあう二人。時にはヒートアップしながら、名取氏は女優ならではの視点で、斎藤氏は時代背景をもとに本作を解説した。時折、名取氏が映画の場面を再現すると、生の演技に客席全体が感嘆の声を漏らす場面も。

一通り二人で感想を述べあうと、お客様の声も聞きたい、という名取氏からの言葉で何名からか感想や質問を受け付けた。「お二人とも違った意見で、色んな見方、感じ方があると知ることができて楽しかった」という感想もあり、最後に斎藤氏が「これだけ討論できるのは、原作も映画も非常に優れた作品だということ。こういう優れた作品をたくさん見ることができる現代、状況はとても幸せなことだと思う」とまとめ、2回目のイベントも幕を閉じた。

本イベントは、豪華ゲストを迎えて全6回の開催を予定しており、第3回は美容家のIKKOの登場が決定している。参加申し込みや詳細は「高峰秀子生誕100年プロジェクト」へ。

2024年アーカイブ

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June 26,2024 (Wed)
ビリー・エリオット
(後列左から)濱田めぐみ、安蘭けい、益岡徹、鶴見辰吾
(前列左から)浅田良舞、石黒瑛土、井上宇一郎、春山嘉夢一

7月27日~10月26日まで東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)、11月には大阪・SkyシアターMBSで上演される、ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』の公開稽古が6月25日に行われた。また、ビリー・エリオット役のキャストスケジュールが公式サイトで公開された。

オフィシャル公開稽古レポート
2017年に日本で初演され、多くの観客の心を打った“奇跡”のミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』が帰ってくる!コロナ禍を乗り越え公演を実施した2020年の再演を経て、新たなキャストを迎えての上演が決定。オープニング公演の開幕まで1ヶ月となったこの日、都内スタジオにて公開稽古が実施され、キャストのパフォーマンスや海外クリエイティブスタッフによる場面のレクチャーなどがおこなわれた。

公開稽古で披露された5つの場面をご紹介していこう。

The Stars Look Down 星たちが見ている
The Stars Look Down
(1)『The Stars Look Down 星たちが見ている』
ストライキが決行されることになり、炭鉱で働く男たちが“暗闇にいても夜空の星が自分たちを導いてくれる”と力強く歌う中、ビリー(石黒瑛土)がまるで将来の座標軸を探すように床を踏みしめながら進んでいく。炭鉱夫たちの熱量とビリーの繊細な感情とがリンクし、それぞれの未来を暗示する本作のオープニング場面だ。

Shine
(2)『Shine 輝け、今!』
ボクシング教室で居残り練習をさせられていたところ、偶然バレエのレッスンに迷い込んでしまったビリー(石黒瑛土)とウィルキンソン先生(濱田めぐみ)が出会うシーン。どんな個性でも踊って輝くことができる!とバレエガールズたちを鼓舞するように歌い踊るウィルキンソン先生と、そのエネルギーの渦の中で戸惑いつつバレエに興味を持ちだすビリー。必死に踊るバレエガールズたちがとてもキュート。

Express Yourself
(3)『Express Yourself 自分を表現しよう』
バレエや家族のことで悩みが尽きないビリー
(春山嘉夢一)が親友・マイケル(髙橋維束)から“自分の人生好きに生きればいい”と元気をもらうナンバー。ふたりはママのドレスをこっそり着せ替えながら友情を確かめ合う。タップを楽しそうに踏むビリーとマイケルの姿が愛おしい。

Angry Dance
(4)『Angry Dance 怒りのダンス』
本作見せ場のひとつ。ビリー(井上宇一郎)はロイヤル・バレエ・スクールのオーディションを受けるためロンドンに行こうとするが、お父さん(益岡徹)に認めてもらえない。行き場のない激しい怒りの感情をダンスで表現するビリー。短い時間で気持ちをマックスまで引き上げて踊る最高にパワフルかつセンシティブな場面だ。

Solidarity1
Solidarity2
Solidarity
(5)『Solidarity 団結を永遠に』
ストライキをおこなう炭鉱夫と警官隊の間の摩擦が激しくなり、“団結だ!”とそれぞれの立場で歌う中、ウィルキンソン先生(安蘭けい)とバレエガールズも同じメロディを歌いながら踊る。炭鉱夫たちとガールズがデュエットのようにリンクするバレエシーンは幻想と骨太さが混在する舞台ならではの演出といえる。
ビリー(浅田良舞)も何かの力が宿ったかのようにバレエの実力を高めていく。

この日は海外クリエイティブスタッフのエド・バーンサイド氏(演出補)による場面ごとのレクチャーもおこなわれ、本作におけるビリー役は「マラソンを走りながらハムレットを演じるのと同じくらいの難易度」とのコメントもあった。一生のうち、ほんの少しの期間しか演じられないビリー・エリオット役。2024年版でこの役を担う4人の俳優たちが自らの個性を武器にどんなビリーを魅せてくれるのか非常に楽しみだ。

ビリー

また、2017年の初演からお父さん役を演じる益岡徹は優しさと強さを併せ持つキャラクターが短い場面からも伝わり、初参加となる鶴見辰吾はどこか飄々としたお父さん像を構築。芯の部分は同じでもかなり印象が異なるダブルキャストになりそうな予感。

さらに『カム フロム アウェイ』や『アリス・イン・ワンダーランド』等の舞台で共演し、“忘れられた大女優”を描いたミュージカル『サンセット大通り』では主役のノーマ・デズモンドをそれぞれのアプローチで演じた安蘭けいと濱田めぐみ。日本のミュージカル界をけん引するふたりが内心に澱を抱えながらビリーに希望を見出すウィルキンソン先生をどう立ち上げるのか大いに注目したい。

稽古終了後、本番と同じサイズで組まれた舞台上も歩かせてもらったのだが、とても繊細な八百屋(傾斜がある舞台)になっており、角度がついたこのステージでバレエをはじめ、さまざまなダンスやムーヴメントを表現する難易度の高さ、俳優の身体にかかる負荷の大きさは尋常でないと感じた。エド氏も語った通り、アンサンブル、スウィングを含めた大人の俳優陣も過酷なオーディションを勝ち抜いたビリーたちに負けず劣らずトップクラスのメンバーが揃っているということだ。

この日の公開稽古に合わせ、ビリー役4人の出演スケジュールも発表になった。1375人の応募者の中から選ばれ、並大抵ではない稽古を重ねてきた彼らがこの“奇跡のミュージカル”の舞台に立つまであと1ヶ月。2024年版の4人はどんなビリーを魅せてくれるのだろう。大人キャストとの組み合わせでもさまざまな化学反応が生まれそうである。

『ビリー・エリオット~リトルダンサー~』は人生のすべてが詰まっているミュージカルだ。ビリー、お父さん、ウィルキンソン先生、マイケル、おばあちゃん、炭鉱夫たち……1984年、英国北東部で生きる人々の中にきっとあなたの人生を映し出す人物がいる。ぜひ劇場でこの物語を受け取ってほしい。

取材・文:上村由紀子(演劇ライター)
撮影:加藤春日


Daiwa House presentsミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』
脚本・歌詞:リー・ホール
演出:スティーヴン・ダルドリー
音楽:エルトン・ジョン

出演:
▼ビリー・エリオット(クワトロキャスト)
浅田良舞 石黒瑛土 井上宇一郎 春山嘉夢一
▼お父さん(ダブルキャスト)
益岡徹 鶴見辰吾
▼ウィルキンソン先生(ダブルキャスト)
安蘭けい 濱田めぐみ
▼おばあちゃん(ダブルキャスト)
根岸季衣 阿知波悟美
▼トニー(兄)(ダブルキャスト)
西川大貴 吉田広大
▼ジョージ
芋洗坂係長
▼オールダー・ビリー(トリプルキャスト)
永野亮比己 厚地康雄 山科諒馬
ほか

【東京】2024年7月27日(土)~10月26日(土) 東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
【大阪】2024年11月9日(土)~24日(日) SkyシアターMBS

【ビリー・エリオット特別番組】
綾瀬はるかが目撃!ビリー・エリオット 情熱と挑戦の舞台
2024年6月30日(日)午後4時~ TBS(関東ローカル)にて放送

ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』公式サイト


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June 25,2024 (Tue)
ブラック・コメディ

英国の著名な劇作家で「アマデウス」や「フォロー・ミー」など映画化された作品も秀逸なピーター・シェーファーによって生み出された戯曲『ブラック・コメディ』は1965年にロンドンで初演され、その後世界各地で上演。日本では1970年に劇団四季で上演された。

物語は、売れない若手彫刻家が留守中の隣人宅から数々の調度品を無断で借用し、婚約者の父親と億万長者の美術蒐集家を招き、さも自らの作品かのように仕立てることで愛と富を手に入れようと画策。しかし、予期せぬ停電がアパート全体を襲い、招かれざる客も次々と訪れ、暗闇の中でトラブルへと発展していく。

ピーター・シェーファーは劇中、室内の電灯がついている設定のときは舞台上を暗く、停電の設定のときは舞台上を明るくするという、明暗が逆転したユニークな手法で表現することで、停電中のパニックを視覚的に際立たせるとともに、登場人物たちの隠された本音や嘘を表出させることに成功した。

今回この戯曲に上演台本・演出として挑むのはヨーロッパ企画の大歳倫弘。映像や舞台の話題作で作家、演出家として活動する大歳が、この型にはまらない異色作にどのように立ち向かうのか要注目。

そして愛する女性と富を一挙に手に入れるため画策する主人公、若手彫刻家ブリンズリーを演じるのは浜中文一。婚約者キャロルには市川美織。ブリンズリーの元彼女クレアには三倉佳奈。ブリンズリーの隣人で東洋古美術商人のハロルドには山口森広。アパートの上階に住む女性ミス・ファーニヴァルには朝海ひかる。キャロルの父親で厳格な性格のメルケット大佐には渡辺いっけいと、実力派キャストが顔を揃えた。

突如アパートを襲った停電による「ブラック=暗闇」と、そこに浮かぶ一癖も二癖もありそうな登場人物たちの表情。果たしてどんなトラブルが舞台上で繰り広げられるのか、期待が高まる。


■あらすじ
主人公ブリンズリーは無名の若い彫刻家。
ある晩、彼は留守中の隣人ハロルド宅から数々の調度品を無断で借用。
フィアンセであるキャロルの父親と、大富豪の美術コレクターゲオルグを自宅に招き、これらの品々が自らの作品であるかのように仕立て、一挙に富と愛する女性を手に入れようと企てる。しかし突然停電が起きて・・・!
次から次へと訪れる来客たちと繰り広げられる受難の数々、ブリンズリーはこの危機を乗り越えられるのか?!


『ブラック・コメディ』

原作:ピーター・シェーファー
上演台本・演出:大歳倫弘(ヨーロッパ企画)
出演:浜中文一 市川美織 三倉佳奈 山口森広/吉田ウーロン太 竹森千人/朝海ひかる 渡辺いっけい

【東京】2024年8月17日(土)~9月1日(日) IMM THEATER
 ※2024年7月7日(日)チケット発売

『ブラック・コメディ』公式サイト

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